Dプラス スタッフblog

「医師の生涯のパートナー」を目指します

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大切な時間

   

私の父は、数年前に歩くことがだんだん不自由になり、
様々な検査の末、やっと診断されたのはパーキンソン病。
少しづつ不自由になる体の原因がわからない日が数年も続き
さまざまな病院にお世話になり、病名が付いた時にはなんとなくほっとしたというのが正直な所だった。

お酒が好きだった父が、アルコールを飲めなくなり、
海外旅行好きだった夫婦が国内旅行でさえも行けなくなり、
母を隣に乗せたいと50過ぎて取った車の免許書もただの身分証明書だけになり、
たくさんの楽しい老後を諦めてきた。
でも、昔から外食が嫌いな父の唯一の楽しみ「母の料理を、食べること」これだけが、
いつしか夫婦の唯一の楽しみになり、毎日3食当たり前の日常を感謝しながら必死に生きて来た。

ところが、とうとう先週・・・食べることを諦めなければならない日がやってきた。

12月から立て続けに、誤嚥性肺炎を起こし、
一時的に胃瘻を作って対処していたものの、
やはり、喉の弁がしまらない状態で現在入院しているリハビリテーション病院では、
とろみをつけた流動食に自宅に帰ってからもしてください。
と初めは言われ落胆したのもつかの間、一切今後口からは接種することは厳しいとの診断を受けた。

父の落胆ぶりは想像の通りだったが、父に尽くしてきた母の落胆ぶりは想像以上であり、
どんなにリハビリをしてもだめなものなのか?
近隣のリハビリテーション病院に父の状態を話、相談員となる方に話をしたがやはり、
歯がゆい答えしか当然もらえるわけなく。
今途方に暮れた二人を助けることができない自分が悔しくてならない。

だから、自分なりにたくさん悩んで悩んで悩んで自分の中で何かを消化し考えた。

たくさん悩んで悩んで悔しい思いをした父が、
少しでも今を生きていることを感じられるよう、たくさんマッサージをしてあげよう。
子供は入れない病院だから、娘に手紙を書いてもらおう。
出来る限り顔を見せてあげよう。悔いのないくらいのことをしよう。

そして、父が先日、私との思い出をたくさん話をしてくれた。

たくさん思い出はあるはずなのに、
小さい頃自転車に乗せていろいろなところに一緒に行ったことをしきりに話をしていて、
鮮明に覚えていて・・・子供を乗せて自転車に乗れる時間、
私が今当たり前のことを過ごしているこの時間が実はすごく特別な時間であることに気づかせてくれた。
だから、娘たちとの時間をさらに大切にしようと。

生きてる限り会えるのだから、後悔しないよう最善を尽くしたい。

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