Dプラス スタッフblog

「医師の生涯のパートナー」を目指します

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「充実しているよ!」

   

先日、一昨年まで市立病院の病院長をなされたN先生とお話しする
機会がありました。貴重な時間でしたので、率直に色々とお伺いさ
せて頂きました。

Q「院長として、一番ご苦労なされたのはどんなことでしたか?」

A「一番は、ドクターを集めること、採用が一番大変だった。あとは、
変わったドクターの対応かな、、、」

Q「ドクターになって良かったですか?」

A「良かったかどうかは分からないけれども、遣り甲斐はあると思う。
人間を相手にしているから、医療に満点は無い、同様に零点もない。
自分が完璧だと思っていても、受けての患者からはそうではない
こともある。全く出来なかったということもない、そこが面白い
ところかも知れない。」

Q「現在の日常はどのようなものですか?」
(定年退職後、民間病院の院長に就任したが病棟も受け持っている)

A「お昼は10~20分程で食べて、病棟に戻っている。家に帰って、
夕食を取った後は大体ソファーに横になってそのまま寝てしまうね。」

あと、クレーム対応や争議についての言葉で印象的だったのは、

「役職者(院長)として言い訳せずに受け止める必要がある。10年程
前、市立病院の院長に就任した時、院長になる前の事故のことで責任
を追及されたことがある。そんな時、前院長の時の事だから知らない
とは言えない。2歳になる前のお子さんが亡くなったことに対して、
自分なりの誠意を持って対応をした。毎年行っているが最近お墓参り
に行った時、そこにランドセルが置いてあった。そうか、生きていれ
ばそういう年になったのか、と、思ったよ、、、、(沈黙)」

「例外はあるかも知れないが、患者は皆我慢しているんだよ。それが
限界に達した時にクレームになり、ものを言って来るんだよ。自分は
完璧にやったと思っても相手はそう受け取られないこともあるし、
手術や診療以外で嫌な思いが重なることもあるんだよ。医者は完璧に
やったと思っても、そうじゃない時があるから、相手の言うことを
先ずはしっかり聞いて、受け止めないといけないと思うよ。」

また、医師の採用に関する採用側の話しとして、

「ドクターを採用する時、通常、次の先生を探してからその人を馘首に
するでしょう、それは違うと思う。(そういうやり方は卑怯だよね、
というニュアンスと受け取れた)僕は、本当に辞めて頂きたい先生は
その時点で辞めて頂いて、ゼロから痛みを伴いながら次の先生を探す
べきだと思うし、実際にそうして来た。それが筋だと思う。次の人が
見つかったので辞めて貰う、というのは違うと思うよ。」

会話の最後の方で、

Q「先生、退官(65歳で)なされて、病棟の患者をもち、外来を持ち、
近くの老健に訪問診療に行き、月に2回当直をしては大変じゃない
ですか?身体はきつくないですか?大丈夫でいらっしゃいますか?」

と問いました。そうしましたら、

A「そりゃあ、身体はキツイさ、でも充実しているよ!前職場で院長
だった最後の10年は、管理業務ばかりで医者として患者と向き合う
機会が無かった。僕は、あまり管理職は向いていなかったと思う。
今の病院では、患者が待っているから、お昼は10~20分で済ませて
直ぐに病棟に戻るし、夜遅くなると予測できる時は車で出勤して納得
いくまで診ることができる。普段は家に帰って、夕食が済むとバタン
と寝てしまうけれども、医者として充実しているよ。」

とサラリと仰った。

こういう先生がいらっしゃって、医療機関、病棟、患者を支えておられ
るのだな、と胸が熱くなりました。

いつまでも、N先生に必要な時お役に立てる時、そんな場面が来た時は、
出来うる限りのことをさせて頂きたい、と心からそう思いました。

 - コンサルタントR