Dプラス スタッフblog

「医師の生涯のパートナー」を目指します

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子供の弱点

   

前回、「子育て」について書きましたが、その流れに沿って
今回も書かせて頂きますね。

深層心理学分野の本が好きで、時に集中して読み漁るのですが、
親になってから読んだ本の中で、自戒の意味も含めて読み返す
ことのある文章を掲載したいと思います。

長い文章なので、今回のブログは、ほぼ転記となります。
ご容赦下さい。(本当に長いので、時間に余裕がある方、
興味のある方へのものと認識ください)

先ずは、ある心理学者の次の文章です。
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◆「親は子供の弱点を知っている:子供を操る三種の神器」

無関心、無視という養育態度は、過干渉よりも子供に与える
悪影響は重大である。無視、無関心は、強烈な「生の否定」
だからである。幸いなことに現実には無関心・無視型よりも、
無理解・過干渉型が多い。

親は無自覚に、進学の問題から結婚相手まで、こと細かく
干渉する。子供の喜びを親の喜びとすることができないため、
親の喜び、つまり親の満足や親の自我の安定を優先して一方
的に子供に注文を押しつける。これが過干渉である。

子供本位の立場でなく自分本位のを一方的に子供に押しつけ、
自分の喜びは子供の幸福と信じて疑わない。このズレが親子
に決定的な亀裂を生じさせる。

これが、親子の問題の原点だ。親の幸福は子供の不幸、とう
構造である。利害が一致しないので、どちらかが不幸になる。

人の不幸の上に成り立つ幸福はない。たいていは立場の弱い
子供が犠牲になる。こういう親は、自分の意のままに子供が
行動していると満足する。子供が小学校になる頃には、今度
は無言の圧力をかけるようになる。「親のいいなりにならな
ければ見捨てるぞ」という無言の圧力である。否定のサイン
である。こうして子供の自立を妨害する。そして子供から
判断力を奪い、いつまでも子供の状態に留めようとする。
親は無自覚に、様々な「否定のサイン」を子供に発して子供
を恐怖に陥れる。恐怖を振り回して、子供を操るのである。

そもそも子供は親からの愛情や世話なしでは生きていけない。
それを逆手にとって、「あなたのため」という大義名分を振り
かざして干渉し、コントロールするのである。子供はたまった
ものではない。子供ながらに、「親のやり方は汚い」と感じる。
そしてわが家は居心地が悪いと感じる。悲劇なのは、心の底で
軽蔑している親から、愛情と保護を得なければ生きていけない
というジレンマである。このジレンマもまた、子供の自己を
引き裂いてしまう。さらなるジレンマは、沢山の愛情を親から
もらっていないために、居心地が悪い家であっても出て行く
ことができないというジレンマである。

人というものは、思いきり人に依存し、思いきり人から愛され
た後でなければ、自立できないものである。そのためにこう
した悲劇的ジレンマが発生する。親の言う「子供のため」は、
イコール「親のため」である。「いい成績をとりなさい」「いい
大学へ行きなさい」「いい会社に入りなさい」・・・要するに
親の見栄のため、親の世間体のため、そして親の自我の安定
のため、なのである。決して子供のためではない。

親は自分の欲求を「子供の欲求」にすり替えているのである。
そうやって自分の欲求を果たすのである。その欲求とは親自身
の不安やコンプレックスや不満の解消、あるいは見栄を満たす
ことだ。しかし、そんな自分の心のメカニズムには気がついて
いない。

面白いことに、その欲求の発現の仕方は、乳飲み子が母親に
対してする欲求の仕方と同じである。つまり、相手の都合を
考えずに、要求を突きつける。自分の都合しか考えない。
自分が乳幼児だった頃に満たされなかった「不満」を乳幼児
と同じやり方で解消しようとしているのだ。

第一が「脅し」である。すねる、だんまり、家出、等は子供
の戦術であるが、親も使う。その他に「愛してあげない」と
いう脅し戦術も使う。子供が中・高生くらいになってこれが
効かなくなると、「泣き落とし」作戦を使う。

これが第二の戦術である。つまり、哀れを演技して、子供を
意のままに操ろうとするのである。「おまえは親を裏切るの?」
と泣かれたら、子供はどんな決心もぐらついてしまう。それで
も子供が言うことを聞かないと、「病気になる」という作戦を
行使する場合がある。

これが第三の戦術である。これは、大学生またはそれ以上の
年齢の子供にすこぶる有効である。一般に、自己本位の人間
を親に持つ子供は、親の病気に極めて弱い。それを知って
いるからこそ、使う戦術なのである。

脅し、泣き落とし、病気、という三種の神器を、
親は無自覚に使い分ける。
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次に、あるカウンセラーの本にある、次の文章です。
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◆親であること:役割か機能か?

大抵の大人は、幼い子供に話し掛ける時には役割を演じている。
子供っぽい言葉を使ったり、声のトーンを変えたり、目下の者
に話し掛ける態度になる。子供を対等の相手と見ない。だが、
とりあえず相手より余計にものを知っていたり、身体が大きい
からといって、子供と自分が対等ではないということにはなら
ない。大人の大半は人生のどこかで親という最も普遍的な役割
の一つを担う。

ここで大事なのは、親という機能に自分を同一化して役割に
なりきってしまわずに、その機能を充分に果たすことができ
るかどうかである。

親として必要な機能には、子供の必要性を満たすこと、危険
な目に合わないようにすること、時には何をしなさい、何を
してはいけないと命令することが含まれている。だが親であ
ることがアイデンティティになってしまうと、自分という
意識の全てもしくは大半が、親という意識に染め上げられ、
親という機能が過剰に強調され拡大されて、自分を見失う。
子供に必要なものを与えるという機能もやり過ぎになって、
子供を甘やかしダメにする。危険を防ぐだけでなく過保護に
なり、子供が世界を探検したり自分で色々なことを試して
みるのを邪魔してしまう。あれをしなさい、これをしては
いけないという指示が威圧的な支配に変わる。それだけで
なく、アイデンティティになってしまった役割演技は、その
機能が必要とされなくなった後まで引きずられる。そうなる
と子供が成人した後も、親は親であることを諦められない。
子供に必要とされたいというニーズを手放せないのだ。
子供が40歳になっても、親はまだ「何があなたのために
なるか、私が一番よく分かっている」等と言う。尚も親と
いう役割を強迫的に演じ続けるから、真正な人間関係が
築けない。役割で自分を規定している親は、親で無くなる
ことによってそのアイデンティティを失うのを無意識の
うちに恐れている。成人した子供を支配したい、その行動
に影響を及ぼしたいという欲求が妨げられると(それが当然
なのだが)子供の生き方を批判したり否定したりし、子供に
罪悪感を抱かせようとする。それもこれも全て親としての
役割を維持しよう、アイデンティティを確保しようという
無意識の試みである。表面的には子供の事を心配しているよ
うに見えるし、当人もそう信じているが、実は自分の役割
(アイデンティティ)を維持したいだけなのだ。全てのエゴ
の動機は利己的な自己強化にあるが、時には巧みに誤魔化さ
れていてそのエゴが働いている当人すら気づかない。親と
しての役割に自分を同一化している母親や父親は、子供を
通じて自分がもっと完璧になろうとする。他者を操ること
を通じて自分が感じ続けている欠落を埋めたいというエゴ
の欲求が子供に向かう。子供を操ろうとする親の衝動の陰
には、この殆ど無意識な想定と動機が隠れているが、これ
が意識されて言葉になれば、きっとこう言いだすに違いない。

「あなたには私が実現できなかったことを実現してもらい
たい。世間の注目を浴びる立派な人になって貰いたい。そう
すれば私もあなたを通してひとかどの人間になれる。私を
失望させないで欲しい。私はあなたのために沢山の犠牲を
払った。あなたの行動を否定するのは、あなたを罪悪感で
落ち着かない気持ちにさせて、私の望む通りに動かしたい
からだ。勿論、何があなたのためになるかは私が一番よく
知っている。私はあなたを愛しているし、あなたが私の言う
通りにすべきことをするなら、これからも愛してあげる。」

自分が無意識にこんな動機を抱いていると気づけば、それが
どれ程とんでもない欲求か、直ぐに分かるだろう。背後に
あるエゴもその機能不全も見えてくる。自分が何をしている
のか、何をしてきたかが分かれば、その虚しさも分かるから、
無意識のパターンは自然に終わりを告げる。

気づきは変化の最大の触媒なのだ。
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以上、自戒の文章2点でした。

自分はまだまだ未熟で、とてもとてもいい親でもないし、
優しい旦那でもないし、できた部下でもないし、優れた上司
でもありません。だから、少しでも皆のお役にたてるよう
自分を高めて行きたいと思っています。

掲載した文章の中にある、

「子供を通じて自分がもっと完璧になろうとする。」

という言葉をはじめて見た時、

あ~、本当にそうだ、自分にはこういう隠れた動機がある、
と愕然としました。そしてさめざめと子供達に心の中で
詫びたのでした。

しかし、本当にそれから自分が意識を変えられているのか?

どうなのか?

本当にどうなの?

前を向いて歩いて行きたいと思います。

 - コンサルタントR