落ち着いて、
先日、地方県立病院の麻酔科部長で、海外の医療ボランティア活動に積極的に
参加している先生との会がございました。
主に、アフリカの国々や東南アジアの国々に行かれている先生は、5歳未満の
小児のオペの死亡率を教えてくれました。アフリカでは、1000人のオペで約
100人から~200人亡くなる(国により変動あり)、東南アジアでは、1000人の
オペで50~60人亡くなる。日本では、1000人のオペで一桁程度とのこと。
仮に、1000人中の死亡数がアフリカで200人、日本では5人と設定しますと、
死亡率の比は、20%対0.5%となり、約40倍の開きがあります。
どの国に生れて来たのかで、生きれるのか生きれないのかが、これ程変わる
のかと思うと、何とも言えぬ気持ちになります。
その先生の話の中で、数年前、アフリカの奥地(飛行機→船→ジープで3時間)
でオペをした時の様子で興味深いのがありました。同行した日本の麻酔科医が
血相を変えて、こんなリスクがある環境で麻酔は出来ない、と業務を拒否した
そうです。しかし、その施設ではそれが精一杯で、その時にオペをしなければ
あと何年後にここに来れるか分からない状況で、そういうことを言っている
場合ではない!と。現地に集結した世界からの混成医療チームで、1週間という
限られた期間で、オペ待っている数百人のうち、何人のオペ出来るのか!?
救えるのか??ということのようです。
最近、よく思いますのは、日本は恵まれ過ぎてるな、と。
子供たちを見ていても、学校に行けて、文房具が好きに買えて、やる気さえ
あれば好きな職業に就けて、という環境がある故に、自分の方向性に自主的
なところが見られない。海外旅行をすれば、日本の国力が嫌でも目につきます。
エジプトに行ったとき、6~7歳の少女達が、一日中じゅうたんを織っている
現場に連れて行かれて、日本人ということでコーラを飲まされながら、数十万
をする商品をPRしていました。最近インドに行った先生からのお話しで、
インドのアッサム地方に行ったということでしたので、美味しいアッサムティー
を飲まれたのですか?と聞いたところ、アッサムティーは輸出用で現地では
消費されず、見たことも無い、とのことでした。インドネシアに行ったとき、
10年間働いているという金細工を作っている青年が18歳と聞いて、8歳から
この作業だけを毎日やって来たのか?と無常を感じました。
愚痴めいて参りました。
恵まれている時、順調な時、そういう時は、落ち込んでいる時や不調な時と
同様に、目が曇りがちになるのではないか、と最近思います。
剣道の言葉で「勝って反省、打たれて感謝」というものがあります。また、
回教の諺で「順調な時には靴に小石を入れて歩きなさい」というものがあります。
環境の浮き沈みや、状況の変化、自身の感情の起伏に振り回されることなく、
落ち着いて、物事を見れるようになりたいと思います。