富山の夜
もう5か月くらい前のことですが、何度も思い出すので、書いてみます。
昨年11月の日本臨床麻酔学会の時、自分は、学会終了の日から1日
延泊して、今まで足を運んだことなない富山県に入りました。富山
の人や雰囲気に触れたいと以前から思っていたからです。
親類の叔父さんに教えて頂いて実行していることの一つとして、初めて
の土地に入った時、先ず、大衆がフランクに集まる居酒屋に一人で
行って、人の動きや言葉、雰囲気からその土地独特のものを自分なり
に感じ取るのが慣例となっています。
富山県に入った時、幾つか調べてチェックしていた良さそうな居酒屋が、
休みや満席で予約が取れず、宿泊したホテルのフロントの方に教えて
頂いたお店に入りました。これもご縁です。
カウンターしか空いて無かったので、そこに予約を入れたのが運でした。
若い店員さんが「カウンターのお席は、日本酒が全て半額でご提供で
きます。」と言うではありませんか!日本酒は好きなので、やった~と
心で叫んで、結局4~5杯ほど飲んだのでした。
カウンターで飲んで食べている時、目の前にその会話から富山の大学生
と思われるバイトの方が3~4人いてカウンター内で、仕込みをしたり、
食器を洗ったり、出来た料理を支給したりしていました。その時の、
大学生Aと大学生Bの会話が、忘れられないのです。
A「もうすぐ就職だね、会社に入ったら、バリバリ働いて稼ぐよ、俺は!」
B「いいね、やる気じゃん!」
A「俺は、肉食系だから、ガンガン仕事して、先ずは金を稼いでいい生活
をしたいな」
B「すごいね、それだけ強い意志があればできるんじゃない。やれるよ!」
A「俺は肉食系だから、人を何とも思わないから、食ってやるという気で
いくよ。俺は俺だからさ。」
B「そうなんだ、そう考えてるんだ、、、、、、」
A「世の中、弱肉強食じゃん、食わないと食われるじゃん、、、、、」
B「俺は、ちょっと考えが違うんだよね、、、、、」
A「何よ、考えが違うって、、、、、」
B「俺は、人を食うとか、支配するとか、そんな考えは好きじゃないんだ。
だから、肉食的には生きない。もし肉食系の人が来て、食うっていうなら
争いはしない、自分の考えに合わないからね。」
A「じゃあ、本当に食われそうになったらどうするんだよ、、、、」
B「その時は、覚悟を決めて、自分の意思で、食われる、、、、」
A「ええっ!!食われるって、負けるとか死ぬとかそういうこと、、、、」
B「俺は、人は食わない、脅しも、支配もしない、それは俺の信条ではない。
そういう人がもし現れたら、自分の信念に従って覚悟を決めて食われる。」
そこまで、会話が流れるように続いてましたが、最後の、ここは譲れない
という静かで強いBの言葉で、会話が途切れて、10秒くらいでしょうか、
シーンと時間が過ぎました。
A「そんな考え、俺は聞いたことがないよ、、、、、」
B「ん、、、、、」
A「俺は、今、ちょっと感動したよ、、、、、」
B「ある意味、俺は俺だからさ、それぞれでいいんじゃない。」
A「おまえって、信念があるんだな、、、、いい話し聞いたよ、有難う。」
B「いやいや、俺はそう思っているだけだよ。」
この会話のやり取りを聞いて、若い者も捨てたものではない、むしろ立派、
自分は、ポーカーフェイスで酒を口に運んでいましたが、久し振りに胸が
熱くなりました。二人ともイケメンでサッカー選手のような精悍さがあり、
物言いも率直で、裏表なく、それぞれをリスペクトしながら、威張らず
媚びずに話す、その心根のまっすぐさに、打ち震えたのでした。
富山の夜は、最高でした。
次の日は、富山で有名な、スターバックス富山環水公園店、富山県美術館、
国宝瑞龍寺、少し足を延ばして、雄山神社に詣でました。
全部、本当に素晴らしかった、良かった。