色眼鏡が落ちる時
時には、自分自身の心境の変化を記しておきたいと思いました。
濡れたタオルが乾ききった時、濡れていた時を思い出せないように、脱臼した肩が元の位置に収まって痛みが消えた時、脱臼を忘れてしまうように、昔の状態に戻れないことがあります。
卑近な例ですが、自分は年に一度、寒い時期にお味噌を手作りで作っています。値段は少し割高になりますが、自分で作った素材の良いお味噌は格別です。もう市販のお味噌には戻れず、もうかれこれ6年程手作りのお味噌&それに準ずるお味噌を使っています。味噌代が旦那の小遣いから支出されるため、妻はダブルで嬉しそうです。
心の持ちようも同様で、以前は自分にとって重大であったこと、それを他人にも求めていたことが、ふとした瞬間に、どうでもよい些細なことに思えて、自然に許せるようになり、人間関係が円滑に行くような経験もあります。
昔読んだ本で、こんなエピソードもありました。登山家であった方が、ある時、険しい山脈に挑んで山頂を目指していた際、遠くの山頂を見た瞬間に「もうこれでいい。自分にとってこれ以上登山は不要だ、これまでで充分だ!」と心にハッキリとした感覚が宿り、そのまま来た道を戻って、家路についたそうです。そして、その日以来、全く登山に興味が無くなり、それと同時に新たな分野への視野が開けたそうです。
自分は年に2回程、身体をリセットする為に、ヨーガ断食というものを実践しています。本断食は1日~2日ですが、その前後を入れると5~7日を要します。その断食の教科書みたいな本があって、師事をしていた故友永淳子先生(友永ヨーガ学院院長)の書かれた本ですが、その中に、このような一節があります。
「ここで大事なのが、反応を感じるセンサーである身体の感覚をクリアにしておく、ということです。何をどれだけ食べても何も感じなかったり、逆に何を食べても胃にもたれるというのでは困ります。ヨーガ断食をすることで、反応をしっかり感じられる身体を作ると、今までに汲み取れなかったものを感じることが出来るはずです。好きだと思っていたものが自分にあまり必要でないものだったり、反対に普段見落としていた食材に大きな価値を見出したりするでしょう。」
「身体の中を清浄に保っていると、今食べたその食品が、あなたのためになるのかならないのか、よく分かるはずです。量を食べていないのに胃にもたれたり、長く腸に留まったり、或いは血糖値が乱高下するものは控えた方が良いでしょう。ヨーガ断食によって、あなたの身体自体が、今何を必要としているか教えてくれる指針になるでしょう。」
不思議なもので、自分には絶対に必要だ欠かせないものだ、と思っていた物事が、いとも簡単に置き去りにされて行く様は、我ながら興味深い事象です。
人間関係もそうかも知れませんね。心理学の本を読んでいると、心の根っこで
自分の存在を恨んでいたり誰かを憎んでいたりすると、深層心理で自分と相性の良くない人と付き合いたくなったり、無理して一緒にいてしまうようです。間接的に自分を痛めつけるのです。そして、自分を本当に許して愛せるようになると、自然に自分と相性の良い、お互いに認め合う相手と一緒にいられるようです。詳しく説明できないのですが、そのようなことが書いてありました。
まるで、色眼鏡が落ちたように、自分の見る世界が変わってしまう時があります。
もし自分が色々な色眼鏡を掛けているのであれば、ひとつづつ捨てて行きたいと思っています。

