Dプラス スタッフblog

「医師の生涯のパートナー」を目指します

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“而今”

   

時に問題が山積して、仕事でも私的にも収集つかず、全くやる気が失せることがあります。
自分自身の不甲斐なさや、稚拙さに呆れ果てて自暴自棄になりそうなこともありますね。

そんな時、そのまま家に帰ることも出来ずフラッとひとりで飲みに行くことがあります。

数日前も、色々あって、普段使いしている居酒屋に入ったのでした。

ざっくばらんな居酒屋ですが、魚と日本酒のクオリティーは高く、仲の良い先生方
をお連れしているお店です。

気心知れた店長は、今日はマグロがいいのが入っているよ、お酒はこれがね~、とか
ニコニコ色々言ってきます。小一時間くらい経って、ふと気づくと、注文もしていない
のに、店長が3杯目の日本酒をカップになみなみと注いでいます。こういう時は店長の
おごりです。このお酒を飲んでみな、という所作です。表情でお礼を言って飲んだのが、
三重のお酒“而今”(じこん)です。

なんとも素晴らしいお酒です。旨み、キレ、深さ、あらゆる要素が絶妙に調和しています。

“而今”の中でもグレードの高いもので、滅多に入手できないラベルと伺いました。


感動のあまり、目の前に置かれた一升瓶をしげしげと見ていましたが、フト、裏表示が
気になって見てみたところ、こういう文字が書かれてありました。

「過去に囚われず未来に囚われず、今をただ精一杯に生きる」

思えば大学時代、「今を生きる」(ピーター・ウィアー)とか「生きる」(黒澤明)とか、
“生きる”テーマの映画に感動したな、と思い出しました。

記憶にしか存在しない過去に掴まれて注意を散漫にし、来るか分からない未来に気を
取られてパワーを消耗させる。そういうことはしなさんな、今を生きなさい、と言わ
れたように感じました。勿論、過去から学ぶとか、未来のために冷静に準備する、
ということとは違う意味合いですね。

店長に、この言葉について言及すると、目を真ん丸にして言いました。「私の信条が
“而今”なのです、過去でもなく未来でもなく、今を全力で生きる、仕事も、遊びも」と。

因みに辞書で引くと、仏教用語、禅の奥義として「今この一瞬」という意味のようです。

帰りがけ、お店を出た時、もう何十回も入っているのに気づいていなかったのですが、
“而今”の一升瓶がお店の前に7~8個並べられていました。心ここにあらずで目に入って
いなかったのですね。今を疎かにしていた証左です。

 - コンサルタントR