事務方の力
2017/04/05
私は約8年程前まで、この業界では最大手の医師紹介会社のマネージャー
をしていました。その時から、不思議に思っていて、少し考えてみれば
納得、というような現象がありました。
それは、「病院自体の実力と医師の採用力は比例の関係に無い」ということ
です。これは、弊社の代表もよく言っているのですが、極論、医師採用力
はその病院の医師採用担当者次第、ということです。
当然のこととして、医療機関は、一次から三次まで役割によって様々あり、
専門病院や自由診療の病院、診療所や訪問診療所など多岐に亘ります。
出来る採用担当者は、エージェントの言葉を鵜呑みにせずさりとて軽ん
ぜず誠実な信頼をもって柔軟に対応し、ご縁のある先生方をしっかりと
抱いて、入職までサポートし、その後もずっとフォローし続け、個々の
先生方の状況をつぶさにご存知です。自身が担当する医療機関のプラスと
マイナスを熟知し、説明も適切で隠すところもなく、しかし今後の見通し
も正確伝えて、先生方に安心感を与えます。
一言でいうと、とても気が利くのです。動きが迅速で、情報が正確なのは
大前提ですが、このタイミングでこの動きはさすが、この状況でこのメール
はさすが、この状況でこの電話はさすが、ポイントを外さないのです。
例えば、都内の政治色のあるチェーン病院のある事務長は、紹介会社で
ある程度の経験があるエージェントであれば、あぁあの方ね、出来るよね、
話し早いよね、先ず任せて大丈夫だよね、という一定の評価があります。
同等クラスの病院が医師採用に苦戦する中、交通の便も悪くこれといった
特徴もないその病院にだけは何故か先生が集まって来て、採用できていた
のです。それがその事務長の実力でした。
先ず、電話をしても気持ちよく応対してくれるし、案件の調整に骨身を
惜しまず動いてくれます。夕方帰り際だから、その日は休みだから、という
利己的な動機が全くなく、本当に話を纏める為に、知恵と熱意で動いてくれ
るのです。そしてまた、話がうまく運んだ場合も、そうでない場合も、相手
の立場を理解して、腐ることなく、次に進んでくれます。そういう事務長
にはエージェントも優先的にいい先生を紹介したくなるものです。
最初の方で、「医師採用力はその病院の医師採用担当者次第」と申しまし
たが、はやりそれは言い過ぎかも知れません。でも、お伝えしたいのは、
出来る事務長(採用担当者)がいる病院はその病院の種別や興隆衰退に
関わらず、その時々の持ち味(条件等)で出せる魅力を正確にPRし、
採用条件等を丁寧に微調整し、小さな機縁も紡いで行きます。
そうい事務長と一緒に足並みを揃え、先生方に喜ばれる仕事をすることは
本当にやりがいのあるものです。時折、ご一緒するお酒の味も格別です。